アフガニスタンと日本の似て非なるところ
こんにちは。
今日はアフガニスタン出身の24歳男性Massiさんにお話を伺いました。
York:今はどちらでしょうか?
Massi:私はトルコの大学に進学し、そのままトルコに住んでいます。
York:私もアメリカの大学に研究のため2019年より滞在しています。
Massi:アメリカに来て最も日本と違うと感じたことは何でしょうか?
York:社会構造の違いがまず一つあると思います。日本は自分を周囲に合わせるという集団単位の生き方が主流ですが、アメリカは個人の単位にまで社会が分割されます。社会のルールはあるわけですが、それに触れさえしなければ何をするのも自由ですね。
Massi:そうですね。アメリカ人は18歳になると家を出て、自分の責任で人生を選択していきますよね。とても面白いです。一方で、集団主義的な文化は日本も含めアジア全体がそうだと思います。インドもイランも、アフガニスタンもそうです。我々アフガニスタンは、とても家族との付き合いを大事にします。
York:イスラム教の影響もありそうですね。アフガニスタンだけではないですが、イスラムの世界では男性と女性で差別はありますか?
Massi:必ずしもそうではないですが、そのように誤解されることはあります。例えば、遺産を分割するとき、子供が男3人で女性4人だとします。すると男は一人1/5、女は一人1/10ずつ均等に分けます。財産を子供で均等にわけるのは日本のシステムとは違いますよね。日本だと長男が多くの遺産をもらう代わりに親の面倒をみていると聞きました。そして女性が男性の半分しかもらえない理由については、女性が結婚すると夫からも援助を受けることができるということが根拠となっています。
York:仕事で男女の賃金に差はないですか?
Massi:職種が違うと差はありますが、性別のみを理由にした賃金の差はありません。なお、アフガニスタンでは結婚に際して夫側から妻側に50万から200万円ほどの持参金が必要です。持参金の支払いの期限はあってないようなものですが、離婚となればそのお金は離婚時に全て支払う義務があり、それを怠ると刑務所にいかないといけません。離婚率は年々増えてはいますが、イランほどは多くないですね。持参金などの制約はイランの方が厳しかったと思います。
York:今のアフガニスタンの情勢はどうでしょうか?
Massi:40年前まではこの国は美しく、豊かな国でした。しかし、ソ連が来て、その後にアメリカが来ました。彼らは今はもういませんが、その後を治める人がおらず今も内戦が続いています。まだ良くなる状態にはありませんね。
メモ:
アフガニスタンは第二次世界大戦時に英領インドとソ連、中国に挟まれつつも終始中立を維持し、損害を被ることのなかった国です。しかし、1978年にアフガニスタン紛争が始まり、政情は不安定化します。
アメリカはこの国に20年もの間、軍を駐留させています。バイデン現大統領は、9.11テロ事件から20年目となる今年の9月11日までに、アメリカの「最長の戦争」を終わらせると表明しています。2020年2月にトランプ前政権下でアメリカは反政府勢力のタリバンと一つの合意を取り付けました。それは、2021年5月1日までに米軍が完全撤退する代わりに、タリバンは外国部隊への攻撃をやめ、アルカイダなどの過激派の活動を支援しないという約束です。しかし、その約束は履行されず、バイデン大統領は2021年4月に、タリバンによる攻撃継続を理由に撤退期限を9月11日に延長すると発表しました。
タリバンは約束を反故にされたことを理由に、米軍やNATO軍への攻撃開始を宣言します。5月2日より、米軍とNATO軍は正式に撤退を開始しましたが、タリバンとアフガニスタン軍の激しい戦闘が続いています。そして、首都カブールでは自爆テロが起こり、多くの学生が犠牲になっています。このMassiとのレッスンの翌日も、女学校付近で自爆テロがおこり、若い女学生を含む51人の死者が出ています。
アフガニスタンは政府軍だけでタリバンを抑え込めると表明していますが、アフガニスタン市民の中には、タリバンの支配に逆戻りしてしまうのではないかという不安の声もあります。そして、タリバンだけではなく、シーア派を敵視するイスラム国によるテロ事件も頻発しています
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