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30代、在米、ニューロサイエンス研究、精神科医が考える世界を学ぶ最も良い方法

アメリカで医師になるまでのコスト

こんにちは。

今日は再び、米国精神科医のWonさんにお話を伺いました。

 

York:一人前の医師になるまで、正直お金はどれくらいかかるでしょうか?

 

Won:とてもかかります。そして時間も。まず、メディカルスクール(日本でいう医学部)に入るのに、4年制の大学を卒業して学士をとらないといけません。

 

York:高校生が医学部を受験して、入学する日本とは違うわけですね。

 

Won:そうです。この4年生の大学が州立であれば、年間12000ドル程度、私立であれば30000ドル程度かかります。また、大多数は自宅から通わないので、生活費がさらにかかります。なので年間30000から50000ドル程度必要です。それが4年分必要になります。

 

York:ざっと、1300万円から2000万円ですね。。

 

Won:はい。そして、そこからメディカルスクールに入ります。これは大学によるでしょうが、ピッツバーグ大学で年間90000ドル程度かかります。生活費を入れると100000ドルですね。それが4年です。

 

York:つまり4年で4400万円ほどですね。高校を卒業して医師になるまでに、8年という時間と6000万円前後のお金が最低限かかるということですね。

 

Won:そうです。アメリカは返さなくても良い奨学金制度は充実していると言っても、実際それを受けれる人はごく一部です。ほとんどの学生は学費を銀行からローンで借り受けて、働き始めてから返済し始めます。

 

York:なるほど。研修医というのはありますか?

 

Won:あります。進むか科によりますが4年から6年のレジデント期間があります。そのレジデント期間中に例えば内科を1年見て回るとかができます。精神科の場合は、他科の研修は3か月まで短縮することができるので、私はそうしました。

 

York:日本は卒後2年間のローテート研修が必須になっています。以前は、今のアメリカのような感じで、3か月とかで良かったのですが。この制度が導入されてから、精神科に限っていえば、まじめなで優秀な人は入ってくる割合が増えたと噂で聞いています。さて、アメリカは、医師になるまでかなりのお金と時間を投資しないといけないことがわかりました。働き始めてからのお給料はいいですか?

 

Won:レジデントの間は年収50000ドルから60000ドル程度です。専門医となってからは、科によって異なります。最も高いという心臓外科であれば年収500000ドル以上もらう人もいます。でも、だいたい少なくとも年収200000ドル程度はあります。平均は年収250000ドルくらいでしょうか。

 

York:日本の研修医は年収450万円くらい、専門医になっても、勤務医だと年収1300~1500万円くらいなので、アメリカより全然少ないですね。日本の開業医がアメリカの勤務医と同じくらいの給与と考えるとわかりやすいかもしれません。

 

感想:

 日本の場合だと国公立大学の医学部に入学すれば、総額400万円程度で、6年で医師免許を取得できます。なので、医師になるまでのコスパは日本の方が圧倒的に良さそうです。経済的な障壁が高くないという意味で、より平等です。

 アメリカは医師の給与だけみると、確かに日本より全然高いと思いました。しかし、アメリカの医療費および保険費用の高さ、住居費の高さ、そして教育費の高さ(医師は自分の子供を医師にさせたがる)を考えると、必ずしも、日本の何倍もいい暮らしができるわけではなさそうです。

 なお、アメリカの素晴らしい点として、米国医師国家試験(USMLE)を海外の医学生や医師でも受けれるように門戸を開いています。この経路であれば、アメリカの医学部を卒業せずとも、米国医師資格を手にして、アメリカで働くことが出来ます。実際は非公開のようですが、日本からも、毎年50人~100人程度合格していると言われています。