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ビューティフル・マインド

映画「ビューティフル・マインド」を観ました。

 

統合失調症という病気を知る人でも、全く知らない人でも楽しめる、非常によい映画でした。

 

時代は1950年代から始まり、主人公が発症時、最初の抗精神病薬であるクロルプロマジンが使用され始めて数年以内という感じの時代背景です。

 

天才数学者が、統合失調症を発症し、闘病生活を経て、最終的にはノーベル賞を受賞するまでの人生を描いた映画です。

 

主治医が基本的に本人の幻覚妄想世界を否定するスタンスであったり、インスリン療法などを行っているのが、時代の違いを最も強く感じるところです。陰性症状の描写は少なく、陽性症状がメインでしたが、わかりやすく統合失調症という病気を伝えるのに、この映画ほど良い資料はないと考えます。

 
以下、あらすじと病状の変遷をまとめています。

 

00:05 初期の幻覚(架空の同居人) 大学院生時代

00:12 奇異な行動(裸足で大声で「ビールを大いに尊重する」といい、バーを出る

         食事をしない

   その後、論文が認められ、国防省での仕事をこなし、教授となる

00:35 誇大妄想(ソ連の暗号を解読するために、政府に裏で雇われる)

00:55 追跡妄想(命を狙われ、銃で襲われる)

00:58 部屋から出てこないという行動化、被害関係妄想

01:05 精神科医が急に登場し、暴力を振るったことで強制入院、その場で筋肉注射(ソラニンというアルカロイドの一種)

01:12 妻が職場のオフィスに立ち入り、まとまりのない記号や文字が書き込まれた雑誌記事が床や壁一面に散乱しているのを発見する。そこで夫の病状が進行していたが、職業上のものとして周囲には発見されにくいものであったことが判明する。

01:18 体内に装置が埋められているという被害妄想に翻弄され、手首を深く自傷する

01:19 インスリン大量投与療法 週5回、計10週間 

01:21 支援者としての妻の葛藤

01:28 性欲減退(副作用)

01:30 怠薬、再燃(この頃には喫煙も始まっている)

01:35 オフィスがまとまりのない状態となっていることを妻が発見する

01:36 自分の子供を風呂に入れ、水をいれているところを妻が発見する。ここで完全に幻覚妄想に支配され、妻は家から逃げ出す。

01:39 主治医と怠薬について話し合う。変薬を提案されるが、拒否する。

01:43 病状は良くないものの、本人はあくまでも入院を拒否する

01:46 かつてはライバルであった旧友との再会。ここで病的体験を意志でコントロールしようとするが、結局は無理で、公共の場で騒いでしまう。

01:50 妻の支えで、再度旧友に会いに行く。

01:52 病的体験の中で、別れを告げる。

01:59 ノーベル賞受賞式においても、陽性症状は持続している。しかし、本人は病的体験であること自覚しており、行動までは左右はされなくなっている。

 

実は、この主人公であるジョンナッシュ氏は2015年に86歳で、タクシー事故で妻とともに他界されています。それは栄えある賞を受賞した帰り道のことでした。残念な最期ではありますが、慢性期の認知機能障害があるはずの中でも、最期まで学術活動を続け、自分を支え続けてくれた妻と一緒に亡くなるというのは、うらやましくも感じました。