ユダヤ教徒のヴィーガンに話を聞いてみる
こんにちは。
今日は、ロシア人の58歳女性のOalさんに改めてお話を伺いました。
York:何度もありがとうございます。さて、Oalさんはヴィーガンだということですか、詳しく教えて頂けるでしょうか?
Oal:私は、この10年ほど、ヴィーガン食にチャレンジしています。肉や魚を取らず、野菜だけを接種しています。野菜は難しい調理が要らないので楽です。ただ切るだけですから。
York:なにかきっかけはあるのですか?
Oal:私がイスラエルに住んでいた時、ヴィーガンの人を見かけて、それがきっかけです。彼らは変人あつかいされていましたが、私はとてもそれに魅了されました。なぜなら、死んだ動物を食べることに抵抗があるし、健康にもあまりよくないからです。私の信仰するユダヤ教では、食事に関してもともと厳しい戒律がある宗教でもあります。加えて、私が個人的に興味のある仏教でも、動物の殺生に対しては否定的です。
York:家族全員がヴィーガンなのですか?
Oal:いいえ、私だけです。ですが、夫も徐々に私の食事スタイルを取り入れつつあります。キッチンは肉用のゾーンとヴィーガン用のゾーンで、区切っていて、食器も使い分けています。
York:すごいですね。ヴィーガン生活を始めて、何か良いことはありますか?
Oal:はい。とても気が楽になりました。体の調子もいいと思います。それまでが、だいぶ肉や脂肪をとる生活をしていましたので。ロシアにいた頃は、ひどかったです。
York:食材はどこで買っているのですか?
Oal:近所の、ユダヤ教商店ですね。そこにはコーシャというヴィーガンのためのマークがついた商品がおいてあり、それを選びます。
メモ:
有名なユダヤ人の菜食主義者に物理学者のアインシュタインや女優のナタリー・ポートマン、サピエンス全史の著者ユヴァル・ノア・ハラリ氏らがいます。ユダヤ教では禁じられている食ベ物や食べ合わせの規定など食事に関する厳しい決まりがあり、特にイスラム教はこの性質を強く受け継いでいます。
ユダヤ教の食事制限に関するキーワードに、カシュルートというものがあります。ヘブライ語で「適正な・相応しい」ことをカシェルといい、この「カシェルな状態」を示す言葉がカシュルートです。
一般的に適正食品規定や清浄規定と訳され、ユダヤ教ではカシュルートに定められた食べ物以外を口にする事は禁止されています。
カシュルートに定められている食べ物は、聖書において以下のようなものがあげられています。
① 4つ足の獣のうち、蹄がわかれていて反芻(はんすう)をするもの
② 海・川・湖に住むもので、ヒレと鱗のあるもの
③ 猛禽類など一部を除く鳥
④ イナゴやバッタなどの一部の昆虫
たとえばユダヤ教で食べることを禁止されている食べ物は、ラクダ、ブタ、ウサギなどの草食動物、甲殻類・貝類・イカ・タコ、カラス・ダチョウ・フクロウ・カモメ・白鳥、昆虫全般など実に多くあります。更に「野外で獣に殺された動物の肉」や「自然に死んだ動物の肉」「動物の血」なども禁止されているため、許可されている動物でも条件によっては食べることができなくなります。
なぜこのように厳しく食べてよいものを区別するかというと、ユダヤ教には古来から「清い動物」と「清くない動物」の観念があり、神に捧げるのにふさわしくない「清くない動物」を自分達も避けて食べないようにしてきたという理由があるようです。
一般的な飲食店ではカシュルートに配慮していないことがほとんどなので、うっかり口にしてはいけないものを食べてしまうこともないとは言えません。そんなユダヤ教徒たちのために、コーシャーマークというのがあります。食材そのものがどうであるかと共にその製造工程(たとえば肉の血抜きなど)、品質管理の面でも徹底した視察がなされ、カシェルな食材だと認定された食品に付けられるマークです。食材や食料品だけに限らず、清掃用品や包装用品など生活と関わりの深いものに付けられていることもあります。
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