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ハンガリーと日本 公教育費の違いから考える教育への認識

こんにちは。
今日はハンガリー人の50歳女性のLlideさんにお話を聞きました。

 

York:こんにちは。お住まいはどちらですか?

 

Llide:私はイタリアに住んでいます。これまでアメリカ、ポルトガル、イタリアと住んできました。今は夫の仕事の都合でイタリアに住んでいます。

 

York:色々と行かれているのですね。ハンガリーでの教育についてよろしければ教えて頂けるでしょうか?

Llide:ハンガリーでは教育全体に対してGDPの約5%が投入されています。大学へと行く人は半分くらいでしょうか。こちらにはエラスムス計画というのがあって、高等教育課程の人を主な対象として、EU内の様々国へと留学することができます。

York:教育への支出は日本の場合だと対GDP3%台です。留学のようなシステムも以前よりは進んでいますが、いまだ不十分ですね。日本の若者ではむしろ海外に行く割合は減ってきています。

 

Llide:エラスムス計画を通して、お互いの違いを知ることができ、それが刺激となります。こような他国との交流制度が各国政府で運営されています。なので、ハンガリーだけに限らずですが、ヨーロッパ人は母国語と英語に加えて第三言語を使用するのが珍しくありません。第三言語はフランス語やドイツ語、イタリア語、スペイン語など、たくさん選択肢があります。

 

メモ:

 ヨーロッパの学生の交流で良く知られるエラスムス計画は、EUを前提とする教育制度の画一化を狙ったものではなく、むしろ各国各地域の伝統や文化を尊重し、互いに違いを認識させつつ相互理解を促すためのものです。一方、日本の教育では、社会や世界について、基礎的な知識を習得させることに努めるものの、その知識をどのように利用するかという点は個人の自由に任されています。

 国際的にみた日本の教育の問題点として、公教育費の少なさが挙げられます。これは先進国の中で最低レベルと言われています。中でも、大学以上の高等教育における公教育費負担割合が低く、OECD諸国全体の中で最低レベルと言われています。

 1950年代のまだ貧しかった日本は、世界のどの国よりも公教育費の割合が高い国として知られていました。それが20年後の経済成長の原動力になったともいわれています。

 

感想:

 現在の日本の公教育費の少ない理由は政治経済的なものも含めて色々あると思います。日本では学歴が高いということイコール、その人が賢くて、その人またはその人の親らが教育に時間とお金をかけたというイメージが湧きます。確かにそれは真実ですが、言い換えると、高等教育とは個人の能力や個人の自由な選択の結果として認識してしまっているということです。

 そのような認識の中から、社会として高等教育をもっとサポートすべきだという考えはなかなか生まれてきません。自分やその子供が優秀な大学に行きたいと思う人以外、高等教育の教育費底上げを政府に要求するような人はなかなか生まれないのが現状です。

 これは当然の考えであると日本にいるときは思っていましたが、アメリカに来て、奨学金制度が整った欧米諸国の高等教育に目を向けると、日本は全体として高等教育へ理解が乏しい国であると感じてしまいます。

 

引用:

ja.wikipedia.org

中澤渉. 日本の公教育 学力・コスト・民主主義 (中公新書)