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レバノンの政治と宗教のバランス

こんにちは。
今日はレバノンの50代男性のMaleniaさんに、レバノンの宗教と政治、経済について教えてもらいました。


York:こんにちは。レバノンの方と初めてお話しします。レバノンの政治や宗教などについて教えてもらえませんか?

 

Malenia:よろしく。レバノンには3つの宗教派閥があります。と、いってもうち二つは同じ宗教です。イスラム教スンニ派とシーア派、そしてキリスト教マロン派です。

 

York:キリスト教マロン派?

 

Malenia:キリスト教マロン派はカトリックやプロテスタントとは違って、東方正教会の流れを汲んだ派閥です。主にヨルダンで信仰されています。これら3つの派閥がそれぞれ1/3ずついるのが、レバノンの特徴です。

 

York:うまく分かれているんですね。

 

Malenia:そうだね。議員の数は微妙にマロン派が多くなるように設定されています。

 

York:なぜですか?

 

Malenia:それは、スンニ派もシーア派もイスラム教だから。イスラム教の意見が政治において優遇されるのを抑えるためなんです。ちなみに大統領はマロン派から選ばれることになっています。

 

York:なるほど。バランスよく政教融合しているわけですね。そもそもなぜ3つの宗教がほぼ同じ数だけあるのでしょうか?

 

Malenia:それは歴史とこの国の周辺諸国をみればわかるよ。シーア派の国、イランやスンニ派の国、サウジアラビアに囲まれ、古くからキリスト教マロン派が存在している国なんだ。

 

York:最近のレバノン経済はどうですか?

 

Malenia:インフレが起こっていて、大変だよ。物の価格がこの1年で10倍になりました。政府が債務による財政危機を招いてしまったんです。それで昨年8月に前首相が退きました。

 

メモ:

レバノンでは大統領を元首とする共和制国家です。宗派ごとに政治権力を分散する体制が取られており、大統領はキリスト教マロン派、首相はイスラム教スンナ派、国会議長はイスラム教シーア派から選出されるのが慣例となっています。国会議員数も各宗派の人口に応じて定められており、マロン派は34人、スンナ派とシーア派はそれぞれ27人となっています。この大統領・首相・国会議長のトロイカ体制は、内戦が終わった1990年にできましたが、今度は宗派間の3職を巡る抗争を発展させることとなったようです。

参考:

レバノン - Wikipedia